〜長崎県美術展覧会〜
長崎県美術展覧会(県展)は、広く県民から美術作品を公募し、県民の芸術鑑賞・参加機会の創出と美術活動を普及促進することで、芸術文化の振興を図ることを目的に行われている長崎県内最大の公募展です。
毎年8月初旬に公募を行い、9月半ばに最優秀賞・西望平和賞以下、各受賞作品を決定。9月下旬から10月にかけて長崎・佐世保・諫早の3会場で展覧会を行います。
11月には県内各地を巡回する移動展を経て、県庁でも受賞作品の展示を行っています。
各賞および特別賞を授与します。
各部門ごとの最優秀賞となる知事賞以下各賞が決められ、知事賞受賞作品の中から本県出身の彫刻家であり、文化勲章・紺綬褒章受章者、文化功労者として数多くの業績をもつ故・北村西望をたたえ、本県美術振興図る目的で最優秀賞となる西望平和賞が1点選ばれます。受賞者には長崎平和公園の平和祈念像や国会議事堂1階中央広間にある「板垣退助翁」などを手掛け、賞の由来にもなっている故・北村西望作「平和の女神」像の青銅製トロフィーを授与します。
このほか、特別賞として本県出身の洋画家である故・野口彌太郎の業績をたたえ、新人育成と奨励を目指す目的で洋画部門・40歳未満の入賞者から選ばれる特別賞・野口彌太郎賞をおいています。同賞受賞者には野口彌太郎原画「長崎の山々」陶板が授与します。
北村西望は1884年(明治17年)、長崎県南高来郡南有馬村白木野(現南島原市)生まれの彫刻家。1908年(明治41年)開催の第2回文展出品作「奮闘」で初入選すると、第3回と第5回でも褒状を受賞。戦前は勇壮で戦意高揚を意図した男性像を数多く残しています。
太平洋戦争の戦況悪化により兵器鋳鉄の供出を発令されたことから、多くの作品が滅失することを憂慮して反対運動を行いました。
戦後は平和、自由、宗教などをテーマとする作風に一転。1955年(昭和30年)に長崎平和公園に設置されている10メートルを超える巨大男像「平和祈念像」を完成させ、長崎と同じ被爆都市・広島にも西望が手掛けた多くの平和祈念像があります。
故・北村西望作「平和の女神」
全7部門で作品を公募します。
長崎県美術展覧会では「日本画」「洋画」「彫刻」「工芸」「書」「写真」「デザイン」の7部門で作品を公募しています。
県展68年のあゆみ
県展は1956(昭和39)年11月、長崎県・県教育委員会・長崎市及び市教育委員会・県美術協会が主催して第1回展を開催しました。9部門730点の応募があり、初日入場者数は6,000人を記録しました。
翌年開催の第2回展では洋画と版画を洋画部門に一本化。長崎出身の洋画家・野口彌太郎や書家・江川碧潭による賛助出品も行われています。
県立美術博物館が完成した1965(昭和40)年には落成記念式典とともに第10回展が開幕。第9回展まで長崎会場は浜屋・岡政両百貨店で開催されていました。
長崎開港400年記念県展となる1970(昭和)45年の第15回展で会期繰り上げとなって以降、9月開催となりました。
1980(昭和55)年に開催した第25回展に現在も最優秀賞として贈られる西望平和賞が新設。ポスターなどに使われている西望塑人書「県展」が使われたのもこのときが最初でした。
第31回展が開催された1986(昭和61)年、21日の会期で史上最高となる24,573人の入場者数を記録しました。
2005(平成17)年4月に長崎県美術館が開館。同年、第50回記念県展を開催しています。
新型コロナウイルス感染拡大を受け、2020(令和2)年に予定していた第65回展は初の中止となりました。
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